狭小地でのマンションの設計!

都心部で建物を建築する際、土地費用が高額となってくるので小さな土地に上に建物を伸ばすという事が求められる事があります。いかに効率よくボリュームプランを入れるかによって建物の収益性が大きく変わって来るのでそこが設計者の力の見せ所といえます。その土地の持つ収益力をいかに引き出してやるかは建物の専有部分を最大限確保するという事以外に、構造的に無理なく検討してやることも重要です。建物の意匠部分ばかりに目が行き構造の検討を怠ると建築費用が高額な建物になります。逆に構造部分中心に考えると建築費用は安くなるが、専有面積が確保できなかったり意匠部分が疎かになった建物になります。意匠面、構造面の両面から同時に見る事のできる設計者である必要があります。例えば弊社が自社保有している物件で、日本橋本町で狭小地を購入しマンションを新築した際に販売している図面より収支を改善した例をあげる。

土地概要、測量図、購入時送付されていたプランは下図のようになっておりました。 クリックすると拡大します↓

土地概要 面積表

面積表を見てみるとS造の9階建てのオフィスプランとなっておりオフィスとして貸し出せる面積は609.46㎡=184.6坪となっている。

収支表測量図測量図

事業シミレーションでは1億5000万円で土地を購入した場合の総額は3億9060万となっており年間収入は3千627万5837円で利回りは9.29%となっています。 賃料の坪単価は共益費を除いて1万2千722円となっているが共益費を含めて計算すると、坪単価は1万5千616円となります。

この賃料収入を弊社で改めて査定すると、近辺はオフィスが多く空室率も高くS造で計画されているという事を勘案し共益費込で坪単価1万2千円で計算した。すると年間収入は

184.36坪×1.2万×12カ月=2654万となり

実質の年間利回りは6%台まで大幅に下がると予想しました。

1階 2~5階

6~9階

プランを見ると1階は敷地北側に約35㎡の貸室を計画し、2階~5階は敷地北に約45㎡、南に約40㎡の貸室を計画し、6階~9階までは敷地北に約55㎡の貸室を計画していました。このプランの欠点は敷地北側と南側で建物の大きさが違うので地震に対し揺れる周期が異なって来るため構造的に負担がかかり建築費が高くなっていました。RC造に比べて建築費の安いS造にかかわらず2億3500万となり専用面積は184.36坪 、延床面積は226.36坪となり延床面積に対する坪単価にすると103万となっています。

そこで弊社でボリュームチェックし修正する事にしました。修正した面積表は下図の様になります。クリックすると拡大します。

面積表

バルコニーの必要な用途を変更したにも関わらず専有面積を212坪確保する事が出来ました。

最終の平面図です。西が上で書いています↓

1階   8階        2~5階  9階     6,7階   10階

 

 

北側の建物と南側の建物をエクスパンションジョイントとし構造的な負担を軽減しました。つまり形の違う北側建物と南側建物を無理に同じ躯体つなぐのではなく、躯体を区切り別々の建物とする事で大幅に負担を軽減しました。図面で見るとエレベーターの左側にEXP.Jと書かれています。構造的に負担を軽減する事で建物は南側建物は8階まで建築する事がで40㎡確保、北側建物は25㎡×2、50㎡の10階建てを確保する事が出来ました。

2012年6月に竣工し2012年12月現在全室に申込みを頂いており満室稼働中です。