現場監理の重要性~施主の立場で管理する~

現場監理とは設計した建物が図面の通り施工されているか、確認する業務です。
当社の場合は、施工会社と異なる立場で、設計者、そして施主の立場で、現場及び施工会社(ゼネコン)を監理していきます。ゼネコンの設計施工を一貫工事では、設計も施工も、現場監理も同一の会社が行います。

施工が始まると、施工会社は設計者が書いた設計図を元に、現場で施工する施工図を書きます。その施工図を現場監理者(当社)が確認します。特に構造に関しては、躯体が構造図通りきちんと施工されるか、細部まで確認します。鉄筋コンクリート造の場合、鉄筋の太さ、本数、間隔、また打ち込むコンクリートの強度、温度、塩分の濃度、気温、打ち込み時間、搬入時間やセメントの工場など、現場監理担当者がチェックしていきます。設計図より仕様が落ちていないか、必要な物が減っていないか、寸法が正しいか等、詳しくチェックしていきます。施工会社は、全てにおいて、仕様の変更等する場合、現場監理者に許可をもらった上でないと施工する事はできません。もし手抜き工事や、不良工事が見つかった場合、全てやり直しさせる、というくらいの強い態度で対応しなければ、良い建物は建ちません。良い建物を建てるために、施工会社と現場監理者は、馴れ合いではなく、業務上での上下関係、緊張感を持って仕事をしていく必要があると考えています。弊社の社員は、現場監理時には、施工会社と馴れ合いの関係になることが無いよう、施工業者と必要以上の会食や付き合いをする事を禁止しています。

設計施工を一貫で同一の施工会社が行う場合は、このような厳しい他者の目が入らないということになります。施主の利益を最優先に、現場監理する人間がいないということです。設計時には、施工のしやすさを考えて設計し、施工時にはいかに安く仕上げるか、ということを考えて建てる場合もないとは言えないでしょう。現に、阪神大震災で崩壊した建物の中で1番多かったのは、某スーパーゼネコンの設計施工一貫工事の建物でした。会社が大きいからスーパーゼネコンだからと言う事では全く安心する事は出来ません。施工会社とは異なる、技術力のある設計会社が現場監理する事が、良い建物を建てる上では重要と考えています。